【第七章】化粧品のPR手法と具体的な広告表現

これまでは、アフィリエイトをする際に注意すべきルールや広告表現を学んできました。 ルールを踏まえて実際にはどのようなPR手法を取ればいいのか、NG例と解決策をセットで見ていきましょう。商品記事を書く際に使用できるPR手法や具体例に触れているので、実践的な内容となっています。

 

1.ルールに基づくPR手法

アフィリエイトの記事で使用するPR手法がたくさん出てくるので、どこまで言えるのか、NG事項は何なのか、マスターしましょう。ポイントとしては、 一般化粧品の効能範囲表におさまる表現になっているか、効能効果の保証になっていないかを確認すると良いです。それでは、実際に使用されるPR手法を見ていきましょう!

 

臨床データ

臨床データや実験例を示すことは消費者に対して効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあり、適正広告基準 3(5)(効能効果や安全性の保証)に反するおそれがあるので原則NGとされています(「広告の実際」 P .41)

 

(NG例)女性型脱毛に84%の効果
●●皮膚科に来院された女性型脱毛の方から無作為に25人に選び、半年~1年間試していただきましたところ、84%の方に効果がありました。
しかも、大変効果ありとみなされる「発毛促進効果」の占める割合が48%と非常に高い結果が得られています。

臨床データを出すと効能効果の保証にあたるためNGです。

(OK事例)効能効果や安全性の保証にならないようなマンガ的な示し方であればOK
脱毛に悩むお客様に満足いただいています

 

Before・After

従来は、使用前・後の図・写真は効能効果・安全性の保証になるので適正広告基準の違反とされていました。
しかし、適正広告基準の改定で「使用前・後に関わらず図面・写真等による表現については、 承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。」としています。

よって、使用前・後であっても「承認外の効能効果(詳しくは第四章2.効能範囲表)」でなければ違反とならないように読めます(例えばシワ解消はNG)

 

ビフォーアフターが禁止されていたので、
従来は使用前・後というのは形ではなく図・写真を並べ、「よい肌・ 悪い肌」 のように別人比較という手法がメインで用いられていました。

改正によって、 効能範囲表以外の効能が想起されるのは違反ですが、効能表に記載されている効能であればNGとは言い切れなくなりました♪

 

体験談

体験談も、LPや商品ページの大きな要素になってきます。体験談はルールが複雑なのでしっかりマスターしましょう。

基本的に、体験談も効能効果・安全性の保証になるので適正広告基準 3(5)違反となります。
ただし、使用感を説明するのはOKです!

【広告表現の比較】
[1]「 ゴールデン化粧水で肌のむくみがとれました 」
⇒「肌のむくみがとれる」は一般化粧品の効能の範囲を超える表現なので薬機法違反です
[2]「 ゴールデン化粧水で肌のきめが整いました 」
⇒「肌のきめが整う」は、一般化粧品の効能範囲内の表現なので、薬機法には違反しませんが、体験談なので適正広告基準違反です
[3] 「 ゴールデン化粧水はベタつき感がありません 」
体験談ですが、使用感なので、適正広告基準も OKです

 

使用感の例

次のような表現は、適正広告基準違反にならない使用感の例です。

イ.初めて使ったとき、すーっとお肌に入っていく感じがしました。
ロ.美容液がどんどんしみこんでいく感触にびっくりしました。
ハ.こりゃーいい!
ニ.とてもさっぱり、しっとりする商品だと思います。
ホ.サラっとのびて、白浮きもしないのがいい
ヘ.パッケージがとってもかわいい

 

医薬関係者等の推薦

適正広告基準では、医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所その他医薬品等の効能効果等に関し、消費者の認識に影響を与える公務所や学校、学会を含む団体が 指定し、公認し、推薦し、指導し、又は選用している等の広告を行なってはならないとしています。
医師だけでなく美容師、病院もNG
⇒推薦だけでなく、「うちでも使っています」というのもNG

※商品と完全に切り離すのであればOKですが、構成を工夫する必要があるので、初心者は避けるのが無難です
(洗顔商品の記事だとして、ドクターが洗顔の大切さ、有効な洗顔方法など理論を話すのはOK)

公的資格が推薦するのはNGですが、公的資格のない美容家やエステシャン、整体師が推薦するのは問題ありません。

 

ケーススタディ

それでは、実例を見ていきましょう。

(1) 「 育毛の専門医と共同開発
育毛剤をともに研究開発した育毛の専門医・●●は、女性に対して高い効果が示されたことに注目しています。」

「専門医が注目しています」という表現は、推薦と見られるのでNG

※ 都庁HP Q&A 集 化粧品 26 だと「アトピー治療の権威○○先生が開発した安全な製品です。」という表現については、「安全」という表現をNGとし、「・・・先生が開発」にはふれていません。

 

(2) 「〔ドクターズトーク〕博士からひと言
私達の皮膚には“コラーゲンハンス細胞”という免疫細胞が存在しています。化学物質でランケルハンス細胞を傷つけないことが大切です。」

⇒博士の意味で「ドクター」というのはOK
製品と直接関係のない肌理論を語るのもOK

※商品名を「ドクター○○」とするのはNGですが、ブランド名を「ドクター○○」とするのはそれだけでは不可とは言えません。

 

その他

その他のPR手法もおさえておきましょう!

(1)特許

特許取得が事実であっても「特許」と広告に記載することはNGです。(基準10医薬関係者等の推せんに違反)
なお、パッケージに特許番号と特許発明にかかる事項を併記する場合に、「方法特許」・「製法特許」と書くのはOKです。

 

(2)比較

他社製品や成分、製造方法等の比較はNG(基準9他社の製品の誹謗広告の制限に違反)となるのでライティングの際は気をつけましょう。
なお、比較の対象がハッキリしていなくても、社名や「他社」と出さなくてもNGです。

ケーススタディ

それでは、実例を見ていきましょう!

1) 「 当社成分××はコラーゲンより保湿力にすぐれている。」
⇒ 具体的に 他社の表現はないが、コラーゲンを用いている他社製品への誹謗になります
2) 「 当社の化粧水××と普通の化粧水の浸透力を比較」
「普通の化粧水」でもダメ(広告の実際 P 93)

3) 比較対象を特定させないライティングでもNGな場合があります。
「 市販の化粧品の中には、石油製剤、界面活性剤が配合されているものがあり、これらは肌に必要な油分まで奪い去ってしまいます。」
⇒ これだと、石油製剤、界面活性剤を使っている製品の誹謗となります。

結局、自社内での比較しかできません!
⇒1) は、「当社使用のコラーゲン」⇒2) は、「当社従来品の化粧水」にしましょう。

 

 

(3)カウンセリング方式

デパートの化粧品売り場でよくある宣伝方法ですが、質問を出して、回答に沿ってピッタリの化粧品を選んでもらうというやり方を指します。

 

(事例)

Q1. シミが気になりますか?
Q2. 肌のコラーゲンが衰えて来たと感じますか?
Q3. 小鼻から口元にかけての溝が気になりますか?
Q4. ニキビが気になりますか?
Q5. 肌の疲れを感じますか?
Q6. 夜はよく眠れますか?
Q7. 朝は快適ですか?
YES が1~3の方は AB セット、4・5の方は CD セット、6・7の方は EF セットをおすすめします。

 

Q1⇒ これだけでは、化粧品の効能範囲を超えるので、「日やけによる」を付けましょう。
Q2⇒ 衰えてきたと感じたらコラーゲンを補給しましょうというロジックは OK なので、そのままでよいです。
Q3⇒ シワ表現はこの程度でも NG。「小鼻から口元にかけて気になりますか?」に代えましょう。
Q4⇒ 一般化粧品であれば、洗顔料、あるいは、薬用化粧品であれば化粧水・美容液等の受けがあれば OK 。
Q5⇒ 疲れ表現は NG 「だんだん鏡を見るのが嫌になってきた」等に代えましょう。
Q6⇒ 「よく眠れないならこれ」という言い方は、 これでよく眠れるという効能を暗示していることになるが、化粧品にはそういう効能はないので NG 。
夜リラックスできますか?」等に代えましょう。
Q7⇒ 朝を快適にというのは、効能というほどのものではないのでこれは可。

身体の変化に触れていないこと、化粧品の効能範囲を超えていないことが判断のポイントになってきます。

 

2.具体的な広告表現

それでは、アフィリエイトで頻出の「効能」の中から具体的な広告事例を見ていきましょう!

効能 表現事例 解説
保湿 保湿力にすぐれたヒアルロン酸でお肌の保湿力 UP ! NG:「お肌の保湿力 UP 」は、肌の機能を変化させることであり、一般化粧品の効能範囲表を超える
保湿 保湿力にすぐれたヒアルロン酸でお肌をしっとり保湿。 OK:肌の表面状態を表現している
弾力 指がはねかえってくるようなお肌のハリ・弾力感がうれしいです。 OK:一般化粧品の効能範囲表で認められている表現(30「肌にはりを与える」)
「指がはね返ってくるような」が付くと強調され、ギリギリOK
弾力 ぷるぷる感がよみがえった気がします。 「 弾力 」の言い換えとして「 ぷるぷる感 」はギリギリOK
「よみがえる」は強調になるので、これが付くと NG 
毛穴 このクリームで毛穴が目立たなくなる。 NG:メークで目立たなくなるのはわかるとしても、クリームで目立たなくはならない
※しかし「汚れをとるから毛穴が目立たなくなる」というロジックはありうるので、 「このクリームで汚れをとります。すると、毛穴が目立たなくなります」といった表現は不可ではありません。
毛穴 このクリームで毛穴が引き締まる。 NG:クリームで毛穴が引き締まるわけではない
※しかし、「クリームで肌が引き締まり、その結果、毛穴が目立たなくなる」というロジックはありえるので 「このクリームで肌を引き締めます。すると、毛穴が目立たなくなります。」といった表現は不可ではありません。
毛穴 小鼻の黒いボツボツが消えた。 OK:「肌と共に毛穴を浄化します」という説明があるとなお良い
にきび にきび専用クリーム NG:一般化粧品は洗顔料でにきび防止が認められているだけです(18「(清浄により)にきび、あせもを防ぐ ( 洗顔料 ) 」) ⇒ 「肌トラブルのためのクリーム」くらいしか言えません
にきび にきび跡を目立たなくします(化粧水)  NG:メーク系ではないので、「目立たなくする」は無理です⇒ 「にきび跡をケア」なら可能性があります
浸透 コラーゲンは分子が大きいため浸透しにくいのですが、当社開発のコラーゲンは、角質層にグングン浸透。 OK: 角質層の先まで浸透するかのような表現はNG、角質層の奥まで浸透するかのような表現はOK
浸透 真浸透 単に浸透を強調しているだけなので OK
シミ シミが消える。 NG:「消える」は「予防」をはるかに超えるので明らかにNG
※一般化粧品の効能として認められているのは、「日やけによる」「シミ・そばかすの予防」です
シミ シミにもいいみたい。 OK:「いいみたい」は「予防」の意味とも言えますが、 「日やけによる」の注釈が必要です
シミ シミが目立たなくなった。 NG:シミ自体が薄くなったように読める
シミ シミが増えなくなった。 OK:「ふえない」と「予防」はほぼイコール
くすみ くすみが消える。 NG:言い過ぎ。クスミを取る」にして、 汚れを落とす旨を注記すればOK
くすみ 肌のくすみの原因の一つである毛穴の汚れや古い角質を落として自然な透明感を実感。 OK:「くすみ」から原因である「毛穴の汚れや古い角質」に話しを落とし込んで「それを落とすと透明感がある」というロジックにする
ターンオーバー ターンオーバーの周期が乱れぬよう整えます。 NG:肌の機能への作用を表現している
ターンオーバー 肌は生まれ変わる!だから続けることで美しさが保たれるのです。 OK:生まれ変わることを商品でどうこうすると言っているわけではない
にきび(石けん) にきびの跡も薄くなってきました。 NG:「予防」とは言えない
※にきびは「洗顔料でにきび予防」がルール
にきび(石けん) にきびに悩む娘も気に入ってます。 OK:「予防」の意味も包含できる
細胞 細胞レベルから美しく NG: 「中から美しく」「奥から美しく」にします。
※細胞を強調すると機能的ニュアンスが強くなるので NG 
細胞 細胞がイキイキと目覚め NG:「肌がイキイキと目覚め」「肌が息吹き」にします。
波動 健康な人の肌の波動を水に転写して肌に浸透しやすくなっています。 OK:単に浸透しやすくなっているというだけ
波動 肌の波動に共鳴して肌本来の機能を高める。 NG:「肌本来の機能を高める」と身体の機能に触れるのはNG
安心・安全 安全な化粧品 NG:良心設計の化粧品
※適正広告基準 3(5)(効能効果や安全性に違反
安心・安全 安心素材 NG:良い素材
※適正広告基準 3(5)(効能効果や安全性に違反
栄養成分 肌の栄養成分 NG:化粧品は肌に栄養を補給するものではない
「美容成分」と言い換えましょう。
肌の元気(健康) 肌の元気を高める。 NG:元気も健康も「保つ」は問題ありませんが、高めるは NG
⇒「サポートする」と言い換えましょう。
肌の元気(健康) 肌の健康を保つ。 OK
肌の元気(健康) お肌の元気成分。 NG:元気成分は微妙ですが健やか成分なら問題ありません
しみ・しわ・くすみ しみ・しわ・くすみに×× [1] 「しみ」には、「*日やけによるしみに」と注記しましょう。
[2] 「くすみ」にも、「*汚れや古い角質が原因のくすみに」と注記しましょう。
[3] 「しわ」は、注記では対応できません。 「笑い顔が気になる方に」「目尻が気になる方に」などと言い換えるしかありません。
白さを守るUV商品 OK ※「美白」はメイク系かUV系でない限り薬用化粧品しか言えません
純白肌へ!UVケア NG:やや強いので 「純白肌への第一歩は紫外線から肌を守るUVケア」などと言い換えましょう。
バリア機能 皮膚のバリア機能を高める。 NG:「皮膚のバリア機能を高める」と身体の機能に触れるのはNG
コラーゲン生成 コラーゲン生成を促します。 NG:「コラーゲン生成を促す」と身体の機能に触れるのはNG
⇒「 コラーゲン補給」か「コラーゲンを守る」しか言えません。
機能・導く みずみずしい美肌を作ります。 NG:化粧品の機能的表現はNGですが、「キメを整える」とか「柔らかくする」のように多少の変化表現はOK「美肌へと導きます。」などと言い換えましょう
機能・導く 肌を内部からイキイキとさせます。 NG:「イキイキと導きます。」などと言い換えましょう
ニキビ対策専用美容液 ニキビ対策専用美容液 ・薬用化粧品であれば「ニキビ予防」は言えるので「ニキビ対策」もOK
・しかし、「専用」は特別感が強すぎるのでNG
・「ニキビ対策用」美容液ならOK
デトックス デトックス 「デトックス」は薬理効果のイメージが強いので化粧品では使えません。
満足度・実感 満足度・実感の表現 [1] 「満足度93%」⇒効果が保証されているようなイメージを与えるのでNG
[2] 「使いやすさ満足度93%」⇒効果と関係ないことを明示するのならOK
[3] 「実感化粧品」⇒効果が保証されているようなイメージを与えるのでNGですが、「感動化粧品」ならOK
幹細胞 植物由来の幹細胞を使用しています。 OK:由来等の客観的説明として「幹細胞」と言うのはOK
幹細胞 幹細胞コスメ NG: 「人の幹細胞を使っている」「使用者の幹細胞に影響を与える」ような表現はNG
メーキャップ・物理的効果 ファンデーションでシワがなくなる。 (湿ったのが乾いて行く過程で伸びる)趣旨の表現は事実であればOK
メーキャップ・物理的効果 この化粧水でシワが伸びる。 化粧品の物理的効果で変わる趣旨の表現は事実であればOK
メーキャップ・物理的効果 このジェルにマッサージを併用するとシワがなくなる。 「しわがなくなる」が マッサージの効果であってジェルの効果でないことが明確にされていて、事実であればOK

 

強い変化表現はNGですが、弱い変化表現はOKです。「導く」というワードは弱い変化表現には適したワードです。

 

第七章のまとめ

それでは、第七章で学んだことをまとめます。

  • 広告表現では、効能範囲表におさまる表現になっているか、効能効果の保証になっていないか確認する
  • 臨床データや実験例を示すことは 消費者に対して効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあり、適正広告基準に反する
  • 使用前・後であっても「承認外の効能効果」でなければ違反とならない
  • 体験談は、使用感を説明するのはOK
  • 医師や美容師など、公的資格の保有者が推薦するのはNG、公的資格のない美容家やエステシャン、整体師が推薦するのはOK
  • 特許取得が事実であっても「特許」と広告に記載することはNG
  • 身体の機能に触れたり、機能的ニュアンスが強くなる表現は NG
  • 「しみ」は、「*日やけによるしみに」と注記する必要がある
  • 「くすみ」は、「*汚れや古い角質が原因のくすみに」と注記する必要がある
  • 「しわ」は注記でも対応できない
  • 「美白」はメイク系かUV系でない限り薬用化粧品しか言えない
  • 「消える」「落ちる」など強い変化表現はNGでも、弱い変化表現ならOK。「導く」というワードは弱い変化表現に適したワード